
不妊に悩む8割の男性が「造精機能障害」…身近に潜む原因とは
パートナーの方と「そろそろ子どもが欲しいね」と話しているのに、なかなか子どもを授からない…。そんな状態が続くと、「不妊の原因は自分にあるのかもしれない」と不安になってしまいますよね。
実は、男性不妊の原因にはいくつかのケースがあります。妊娠できない期間が長い方は、いずれかのケースに当てはまっているのかもしれません。
そこで今回は、男性不妊の原因について詳しくお伝えします。毎日の習慣による影響についても、あわせて学んでおきましょう。
男性不妊とは
そもそも、男性不妊とはどのような状況を意味しているのでしょうか。その定義を確認しておきましょう。
「不妊症」は、結婚した夫婦が一般的な頻度かつ避妊をしないで夫婦生活をしたにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のこと。割合にすると、妊娠を望んでいる夫婦の10~15%が不妊症だと言われています。こう見ると、多くの夫婦が不妊に悩んでいる様子がうかがえますね。
そのなかでも、男性側に原因があると考えられる場合を「男性不妊症」と呼んでいます。「精液所見の異常」によって男性不妊を引き起こしているケースが多いものの、性交障害といった別の原因が関係している可能性も。精液に何らかの異常がある場合、精液所見の正常化を目指して治療することになります。
このような男性側に不妊の原因ある夫婦は、決して珍しくありません。一般男性の不妊症率は約12%前後と言われています。気になる方は、ぜひ検査をして調べてみましょう。
若者の男性不妊の原因の推移
では、なぜ男性不妊症になってしまうのでしょうか。その原因は、大きく分けて「造精機能障害」「精路通過障害」「性機能障害」の3パターンが考えられます。
平成27年のデータによると、それぞれの割合は造精機能障害82.4%、精路通過障害3.9%、性機能障害13.5%となっています。注目すべき点は、性機能障害の割合が急激に増えていること。平成9年はわずか3.3%だったにもかかわらず、約20年で4倍以上に増加しています。
また、平成9年の精路通過障害の割合は13.7%であったたため、こちらは大きく減少しています。このように、男性不妊の原因は時代によっても変化が見られるのです。
その一方、造精機能障害の割合は8割を超えたまま変わりありません。以前から変わらず、男性不妊の代表的な原因であると言えます。今回は、そんな多くの人を悩ませている造精機能障害についてご紹介していきましょう。
造精機能障害の原因
約20年前から変わらない割合で、男性不妊を引き起こしている造精機能障害。これには、どのような原因が関係しているのでしょうか。1つずつチェックしていきましょう。
喫煙
喫煙が習慣になっている場合、精子濃度や精子運動率に悪影響を与えてしまいます。奇形精子率が上昇し、受精能力を低下させてしまうことも。その結果、妊娠しにくい状況になってしまうのです。
さらに、精液中の活性酸素が増加することで、DNAにダメージを与えてしまう可能性も高まるでしょう。子どもを望んでいる方は、喫煙を控えたほうがいいと言えるでしょう。
加齢
妊娠率を左右するのは、女性の年齢だけではありません。男性の年齢が重なるほど、精液所見が悪化していくというデータが示されています。
30代半ばを過ぎると次第に精液量が減少し、精子運動率は低下傾向に。子どもを望んでから妊娠に至るカップルにおいては、男性の年齢が上がるほど妊娠までの期間が長くなると言われています。
無線LAN
頻繁にノートパソコンを利用している男性は、精子がダメージを負っている可能性があります。その原因として考えられているのは、無線LANの存在です。ここでは、実際の実験結果をお伝えしましょう。
健康な精液のそばにデータをダウンロードしているノートパソコンを4時間設置したところ、精子の25%が活動を停止したことが明らかになりました。なお、ノートパソコンから離れた位置にあった精液中の精子のうち、活動が見られなかったものは14%のみとなっています。
これは、無線LANによる影響ではないかという意見が出ています。無線LANから放たれる電磁波により、精子に悪影響を与えているのかもしれません。
ただし、この見解はまだ確定したものではありません。今後のさらなる研究が期待されています。
まとめ
妊娠を望んでいる夫婦の10組に1組以上が不妊に悩んでいることから、不妊は決して珍しくないのだと考えられます。そのなかには、女性だけに不妊原因があるカップルだけでなく、男性のみ、もしくは両方に原因があるケースも。
そして、男性不妊の原因には大きく分けて3つのパターンがあることが分かりました。とくに造精機能障害は、不妊に悩んでいる男性の多くが抱えている傾向にあります。
喫煙や無線LANの影響も考えられるため、「まだ若いから大丈夫だ」と安心することはできません。「もしかすると不妊の原因を抱えているかも」と感じた方は、一度病院を受診してみましょう。精液検査により、自分の精子の状況が明らかになるはずですよ。