
亜鉛サプリの副作用は過剰摂取が引き起こす!亜鉛と亜鉛サプリガイド
「なんだか最近調子が悪い…。」
肌荒れや抜け毛など、気になるカラダの不調。亜鉛は、そんな不調の数々を取り除く救世主のひとつです。健康維持のため、サプリメントで手軽に亜鉛を取り入れている方も多くいますよね。
しかし、サプリメントなどの健康食品を摂取する際、しっかり押さえておかなければいけないのが副作用。つい、効能ばかりに注目してしまいがちですが、副作用をしっかり理解した上で使用しなければ、かえってカラダの弊害となってしまうことも。
亜鉛サプリには、何か副作用があるのでしょうか。
そこで、亜鉛について徹底解説!嬉しい効能はもちろん、亜鉛をサプリメントから摂取する際、絶対に把握しておくべき副作用を詳しくご説明しますよ。
毎日の健康のため、亜鉛についてまるごとマスターしていきましょう。
亜鉛とは
まず、亜鉛の基礎知識を改めて確認していきましょう。
亜鉛は、16種類ある『必須ミネラル』のうちのひとつで、毎日の健康維持のために必要不可欠な栄養素です。体内におよそ2gほど含まれ、主に骨、皮膚、肝臓、腎臓、筋肉などに多く存在します。
しかし、極めて重要な成分であるにもかかわらず、亜鉛は体内でつくり出すことができません。そのため、食事などから摂取する必要があり、不足すると次のような症状を引き起こす可能性があります。
- 味覚障害
- 食欲不振
- 免疫力の低下
- 貧血
- 爪・皮膚の異常
- 脱毛
- 下痢
- 生殖機能の低下(EDなど)
- 成長障害(胎児期・乳児期・小児期)
- 傷が治りにくくなる、など
基本的に、通常の食事をしていれば亜鉛が不足することはないと言われています。
しかし、アルコールの過剰摂取、ダイエットや健康志向による食事摂取量の低下、偏った食生活などが原因となり欠乏してしまうことがあるので注意が必要です。
亜鉛に期待される効能
必須ミネラルの一つとして、体内で多様かつ重要な役割を担っている亜鉛。亜鉛の基礎知識を押さえたところで、続いては、私たちのカラダの中で亜鉛がどのような働きをしているのか、具体的に確認していきましょう。
亜鉛には、主に次のような働きがあります。
- 抗酸化作用
- 免疫力の向上
- 生殖機能の改善
- 味覚を正常に保つ
- 髪・肌の健康を保つ
- 成長・発育のサポートなど
早速、一つひとつ詳しく解説します。
抗酸化作用
亜鉛は、抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)の構成成分となるほか、抗酸化ビタミンであるビタミンAの代謝を促す働きがあります。
そのため、亜鉛を十分に摂取することで抗酸化作用が活性化され、過酸化脂質の害からカラダを守ることができます。
過酸化脂質とは、中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素によって酸化されたもので、老化やがん、動脈硬化などを引き起こす、カラダにとって有害となる物質のこと。
亜鉛により活性化された抗酸化作用がこの過酸化脂質の原因となる活性酸素を除去し、カラダがサビつく(酸化する)のを防いでくれるので、アンチエイジング効果・生活習慣病予防効果が期待できます。
免疫力の向上
亜鉛には免疫細胞を活性化し、侵入してきた細菌やウイルスからカラダを守る働きがあります。そのため、十分に亜鉛を摂取することで免疫力が高まり、風邪や感染症にかかりにくくなります。
生殖機能の改善
亜鉛には、ホルモンを正常に機能させる働きがあり、十分に摂取することで生殖機能の改善を期待することができます。
亜鉛は、別名「セックスミネラル」とも呼ばれ、男性ホルモンを促進し、精子の数を増加させたり、精子の運動量を活発にさせると言われています。
また、女性ホルモンのバランスを整え、エストロゲンとプロゲステロンを活発にする働きがあります。
味覚を正常に保つ
食事の味を感じる味細胞は、舌と上あごの奥に多く存在する味蕾(みらい)という小さな器官にあります。亜鉛は、この味蕾の中にある味細胞に働きかけ、味覚を正常に保つという重要な役割を担っています。
味細胞は、新陳代謝が盛んで、使い捨ての短命な細胞なんですよ。そのため、短期間で次々と新しい細胞を作ることが必要となり、材料となる亜鉛を多く必要としているのです。
つまり、亜鉛を十分に補えば味細胞が正常に作られ続け、味覚が保たれるのです。
髪・肌の健康を保つ
亜鉛には、たんぱく質の代謝を促進する働きがあります。亜鉛を十分に摂取することにより、たんぱく質が主成分となる髪や皮膚の健康が保たれるので、美髪・美肌効果が期待できます。
成長・発育のサポート
亜鉛は、たんぱく質や遺伝子情報を伝えるDNAの合成に関わり、新陳代謝にたくさんの影響を与えています。
そのため、細胞の生まれ変わりが活発な胎児や乳幼児、子どもの発育には特に必須となる成分。十分な亜鉛の摂取が、子どもの健やかな成長をサポートします。
亜鉛には副作用があるの?
カラダのさまざまな機能を正常に保つ、極めて重要な役割を担っている亜鉛。しかし、大切な働きをしているにもかかわらず、すでにお話した通り、体内で亜鉛をつくり出すことができません。そのため、食事などから意識的に補う必要があります。
亜鉛不足を防ぐため、サプリメントを利用するのもひとつの方法。しかし、サプリメントなどの健康食品を摂取する際には、副作用にも注意が必要です。
そこでここからは、亜鉛サプリの副作用、摂取する際の注意点をしっかり確認していきましょう。
亜鉛サプリによる過剰摂取に注意
亜鉛は比較的毒性が低いミネラルと言われています。そのため、食事から適正量を摂取していれば副作用が起こることはありません。
- 亜鉛:副作用はなし
※通常の食事から適正量を摂取している場合
しかし、サプリメントなどで亜鉛を過剰に摂取した場合には有害となり、吐き気・おう吐・食欲不振・胃痙攣・下痢・頭痛などを起こしてしまう可能性があります。
【過剰摂取による副作用】
- 吐き気
- おう吐
- 食欲不振
- 胃痙攣
- 下痢
- 頭痛など
さらに、長期間にわたり亜鉛を過剰摂取し続けると、銅の吸収阻害による銅欠乏・免疫の低下・腎機能障害・HDLコレステロール(善玉コレステロール)の減少などといったリスクが高まります。
【長期的な亜鉛の過剰摂取による副作用】
- 銅欠乏
- 免疫低下
- 腎機能障害
- HDLコレステロールの減少など
亜鉛は不足しても過剰となってもカラダの害となってしまいます。食事から意識的に摂取することを基本にして、サプリメントを活用する場合には、必ず用法・用量を守り、不足している分を補う程度の服用にとどめましょう。
一日の亜鉛摂取量
最後に、一日の亜鉛摂取量について確認しておきましょう。
厚生労働省から発表されている『日本人の食事摂取基準(2015 年版)』では、各年齢別の亜鉛の食事摂取基準を次の通り定めています。
男性の推奨量(mg/日)
18~29歳 | 10mg |
30~49歳 | 10mg |
50~69歳 | 10mg |
70歳以上 | 9mg |
男性の耐用上限量(mg/日)
18~29歳 | 40mg |
30~49歳 | 45mg |
50~69歳 | 45mg |
70歳以上 | 40mg |
女性の推奨量(mg/日)
18~29歳 | 8mg |
30~49歳 | 8mg |
50~69歳 | 8mg |
70歳以上 | 7mg |
妊婦の付加摂取量 | +2mg |
授乳婦の付加摂取量 | +3mg |
女性の耐用上限量(mg/日)
18~29歳 | 35mg |
30~49歳 | 35mg |
50~69歳 | 35mg |
70歳以上 | 35mg |
推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
耐容上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
出典:日本人の食事摂取基準(2015 年版)
ちなみに、平成29年国民健康・栄養調査では、通常の食品から成人男性で平均8.9mg/日、成人女性で平均7.4mg/日の亜鉛を摂取しているという結果が報告されています。
- 男性平均:8.9mg(推奨量:10mg)
- 女性平均:7.4mg(推奨量:8mg)
男性・女性ともに、亜鉛の摂取平均量は上記表に記載されている推奨量を下回っていますよね。
不足してしまわないよう、より意識して亜鉛を摂取していきましょう。そして、サプリメントを活用する場合は、上記表の『耐容上限量』を目安に、過剰摂取にならないよう注意してください。
まとめ
亜鉛は、カラダにとって不可欠な必須ミネラルのひとつ。カラダの機能を正常に保つとても大切な役割を担ってるので、不足するとさまざまな不調があらわれてしまう場合があります。体内でつくり出すことができない分、意識して摂取するようにしましょう。
ただし、亜鉛サプリを服用している場合は要注意!
亜鉛は、不足だけでなく、過剰摂取もカラダの害となってしまいます。まずは、規則正しい食生活から亜鉛を摂ることを基本に。サプリメントは、不足している分を補う程度に、用法・用量を必ず守って服用するようにしてくださいね。