
決して珍しくはない男性不妊…その原因となりやすい人の特徴は?
なかなか子どもを授かれない状態が続くと、「不妊の原因が自分にあるかもしれない」「男性不妊だったらどうしよう」と不安になってしまいますよね。実は、不妊の原因を抱えている男性には、いくつかの特徴がみられます。
そこで今回は、男性不妊に関するデータや原因だけでなく、自分でチェックできる項目もご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、男性不妊の傾向があるのかを確認しておきましょう。
男性不妊とは
不妊には男女のどちらか一方に原因がある場合と、両方に原因がある場合があります。その割合は、女性だけ原因をもっているパターンが41%、男性だけは24%、男女両方は24%です。(残りの11%は原因不明)つまり、不妊で悩んでいるカップルの48%は、男性側に何らかの問題があると考えられます。
このような状況が、いわゆる「男性不妊」。現在では、夫婦の10組に1組が不妊症だと言われています。そのうち、男性に原因を抱えている割合が約過半数とすると、男性不妊は決して珍しくはないと考えられるでしょう。
にもかかわらず、男性不妊を専門に診ている病院はあまり多くありません。実際は、女性と同様に婦人科で診てもらっているケースがほとんど。主に、生殖補助医療技術をしている施設(ART)での受診が多いでしょう。その一方、泌尿器科で診てもらっている割合は1~2割ほどとなっています。
男性不妊の原因
男性不妊には、造精機能障害・精路通過障害・性機能障害の3つの原因が考えられます。2016年に発表された全国調査によると、造精機能障害が82.4%と最も高く、精路通過障害が3.9%、性機能障害が13.5%という結果になりました。
また、日本の夫婦の45%がセックスレスというデータも存在しています。以前より性機能障害の割合が増加している点も踏まえ、性機能障害の治療はとくに重要視されています。
では、それぞれの原因について詳しくみてみましょう。
造精機能障害
造精機能障害は、精巣内で精子を作る機能に問題がある状態のこと。これに当てはまる場合、精子に悪影響が出ている可能性があります。
たとえば、精液中の精子の濃度が低くなる「乏精子症」、精液中に精子がいない「無精子症」、精子の運動率が低い「精子無力症」といった症状が現れることも。
過半数以上が原因不明となっており、原因が分かっているうちの最も高い割合(35.9%)が精索静脈瘤です。そのほか、精巣が陰嚢内に下りていない停留精巣、無精子症を招く染色体異常、抗がん剤や放射線治療、ホルモンの異常などの影響による精子の形成障害が考えられます。
精路通過障害
精路通過障害とは、精子の通り道が閉鎖している、もしくは狭くなっている症状のことです。精子は精巣で作られたあと、精巣上体に貯蔵されます。そして、性的刺激によって精管、精嚢を通過して尿道へ到着。興奮がピークに達すると、陰茎から射精します。
精路通過障害の場合、この流れのなかで問題が生じています。通過しなかった精子は、体内にそのまま残ってしまいます。
先天性の原因としては、「先天性両側精管欠損症(CBAVD)」、後天性なら尿道炎や外傷、小児期両側鼡径(そけい)ヘルニア術後、前立腺嚢胞、射精管閉塞症が考えられるでしょう。
精路通過障害に対する治療は、精子が作られているかどうかで異なります。精子が正常に作られているなら、精子の通り道を治療する手段もあります。
性機能障害
性欲はあるのに、物理的もしくは精神的に性交できない状態のことを性機能障害と呼びます。
男性の場合、性交に対して緊張してしまい、一時的なインポテンス(ED・勃起障害)になってしまうケースも。また、普段から過度なストレスを抱えていると、インポテンスになる可能性もあります。女性と力を合わせて焦りやプレッシャーのない状況を作り出せば、次第に解決へとつながるでしょう。
しかし、高齢によるインポテンスを避けることはできません。この場合、バイアグラを飲むといった対処法が挙げられます。
それ以外に、糖尿病や精神神経疾患などがインポテンスを引き起こしているケースもあります。この場合は、原因となる病気の治療によって、性機能障害の回復が期待できるでしょう。
こんな特徴に覚えがある人は不妊症の検査を!
日常生活の過ごし方は、精子に大きな影響を与えます。以下の項目に当てはまる方は、知らないうちに不妊につながる生活をしているかもしれません。気になる方は、不妊症の検査を受けてみましょう。
- タバコを吸っている
喫煙は、血行不良や酸化ストレスによるDNAへのダメージを引き起こします。それにより、精子の全項目に悪影響を及ぼすというデータも。喫煙の習慣がある方は、精子の状況をチェックしておいたほうが安心です。 - 長風呂やサウナが好き
精子を作っている精巣は、高温に弱い性質があります。熱いお風呂に長時間入っている、サウナを利用しているという方は、造精機能を低下させているかもしれません。 - ブリーフやボクサーパンツを着用しているブリーフやボクサーパンツは、トランクスに比べ熱がこもりやすい特徴があります。先述した通り、熱は精巣の大敵。肌との密着度が高いズボンを頻繁に履いている方も注意が必要です。
- 膝の上でパソコン操作をする
パソコンは高温になることが多く、膝の上に置いていると股間部に熱が伝わってしまいます。移動中にパソコン操作をする習慣がある方は、長時間にわたって精巣に熱ダメージを与えているかもしれません。 - 自転車通勤をしている
長い時間自転車に乗っていると、股間に圧力がかかってしまいます。血行不良により、精子の状態を悪化させてしまう可能性も考えらるでしょう。 - 育毛のための飲み薬を飲んでいる
フィナステリドという薬剤が使用されている場合、前立腺を抑制する効果により、精液量の減少が懸念されます。 - 禁欲期間が長い
精巣内に古い精子があると、活性酸素が発生してしまいます。これにより、精子そのものや精子を生み出す細胞にダメージが与えられ、精子が作り出されにくくなうことも。よかれと思って禁欲していたことが、逆効果になっているかもしれません。
まとめ
普段の生活を振り返ってみると、「不妊につながる行動をしていた」と気づいた方も多いのではないでしょうか。「もしかすると男性不妊かも」と不安に感じたら、まず検査を受けて状況を確認してみましょう。
現状や不妊の原因が分かると、治療法や改善点を発見できるかもしれません。男性不妊になりやすい人の特徴に当てはまる人は、生活習慣の見直しもおすすめですよ。